桜餅を買う

ひなまつりらしいものを食べようという話になり、結果として瓦そばを作ることにした。同居人のご両親から贈られてきた乾麺のレシピを見ると、甘辛く煮た牛肉と錦糸卵が必要と書かれていたので、平日だけどスーパーへ買い物に出る（※ふだんは週末にまとめ買いをして、平日は外に出ないようにしている）。

多少風はあったけれどいい天気で、随分と春らしい雰囲気が出ていた。買い物ラッシュに合わせて補充が済んだ店内はひなまつり商材がこれでもかと積み上げられていて、桜でんぶやハマグリのような、ふだん見かけない食材が売り場の一等地に陣取っている。ハマグリの値段を見ると398円/100g、しかもこの重量の半分以上は殻だから、たんぱく質1gあたり単価に直すと、精肉専門店の和牛ぐらいの値段だ。天然資源で、しかも採取量も減少傾向だから値段もそれなりになるのは理解できるけれど、これでは魚食離れも仕方ないよな、と思ってしまう。

帰り道、商店街の和菓子屋で桜餅を買った。店頭に並ぶ桜餅は、あんを包まずに、棒状にくるんと巻いているだけの商品で、西の暮らしが長かったから新鮮な気持ちになる。

ルームシェアを始めて、そろそろ半年になる。ひとりで暮らしていた頃は歳時記もおざなりにしていたけれど、他人と暮らす平凡な日々には、折に触れてイベントを発生させないと、かえってメリハリがなくなってしまう。