りんかい日記

"うまくやる"ための試行錯誤

グッときた文章

ようやく原稿のメドがついたと思ったら、今度はリサーチ演習の課題〆切に追われる羽目になった。

 

某ECを題材にして、彼らはどんなmoatを築いているか、を短いレポートにまとめるのが演習課題だった。界隈では比較的知名度のある事業者だけど、僕はこれまで、きちんとIR資料を読んだことはなかった。いい機会なので直近の決算説明会資料にアクセスしたところ、なんというか、これがとてもよい出来だったのだ。あるいは、僕の好みど真ん中だったと言い換えてもよい。

 

書体はMSゴシック、資料の色遣いはMSのパレットそのまま(しかも使っている色も多い)、少なくとも見た目のカッコいい資料ではない。けれど、投入されているメッセージは端的でクリティカルで、提示されているグラフは事業を語るのに必要にして十分で、見通しやリスクも平易な表現で率直に語られていて、自分の取り組んでいることをよく把握し、消化していないと書けない、切れ味のある資料だった。

 

前職の頃、直接お会いしたこともない先輩が執筆した某省の委託調査の報告書を読んで感嘆したことがある。グッときた理由は今回と同じようなところで、飾り気のない、無骨だけど的確な文章に、僕はどうしようもなく惹かれてしまい、自分が担当した報告書で、構成を真似できないかと何度もチャレンジした。できあがりは毎回イケてなかったけど、あれは先輩の胸を借りたぶつかり稽古みたいなものだったと勝手に思っていて、間違いなく今の僕に影響を与えている。

 

今でも、こうした文章を書きたいと常々思っている。同時に、これは仕事ではない、とも思っている。自分はこう表現して、こう世の中に投げ込みたいという気持ちは、仕事=自分ではない存在にために働くこととは全く一線を画していて、どこまでも、内発的な動機だからだ。